ロオジエのこだわり

2017年4月27日

【自然への敬意を感じずにはいられない、素晴らしき「海からの贈りもの】「黒鮑(あわび)のバターポッシェ」と言えば、2013年の「L'OSIER」リニューアルオープン以来、エグゼクティブシェフ オリヴィエ=シェニョンのスペシャリテとして多くの人の心を捉えてきた料理のひとつ。この料理は1年を通じて“最...MORE

2017年4月27日
【自然への敬意を感じずにはいられない、素晴らしき「海からの贈りもの】

「黒鮑(あわび)のバターポッシェ」と言えば、2013年の「L'OSIER」リニューアルオープン以来、エグゼクティブシェフ オリヴィエ=シェニョンのスペシャリテとして多くの人の心を捉えてきた料理のひとつ。この料理は1年を通じて“最良の国産黒鮑”が入荷した時のみコースの前菜として登場していたのだが、「またぜひ味わいたい」という声に応えるかたちで、アラカルトメニューに加えられた人気のひと品だ。

オリヴィエと国産黒鮑の出会いは、彼が来日まだ間もない頃に訪れたという鉄板焼きレストランでのこと。鉄板の上でまたたく間に蒸し焼きされた黒鮑は、フランス・ブルターニュでわずかに水揚げされる小粒の鮑とはまったく異なる食感・風味。これがオリヴィエの味覚にかつてないセンセーショナルを巻き起こしたのだ。

今回ご紹介する「房州黒あわび」は、その国産黒鮑のなかでもずばぬけて身質がよく、1個あたり貝付きで500〜600gという希少な特選食材。黒鮑の産地として名高い南房総・千倉で、海女漁が解禁される5月1日から9月15日の間のみ出回るのだが、先述した500〜600gのものは地元でも「10年もの」として高値で取り引きされる。出荷先でも言わば「取り合い」のような状態になる希少食材なのだ。

漁期にあたるこの時期、黒鮑は10月の産卵期に向けて積極的に栄養を蓄えるため、主に海底を漂う昆布のミネラル分をたっぷり吸収し身質もふっくらと肉厚になる。鮑は加熱するとどうしても痩せてしまうのだが、「房州黒あわび」は火入れしても身はふっくらとしたまま。ほど良い弾力を保ちながらもしっとりとやわらかいのが特徴だ。

「黒鮑のバターポッシェ 花紫蘇添え 岩海苔入りブルグールのリゾット 生雲丹のブイヨンソース」は、この特選素材が入荷する時期にぜひ味わっていただきたい料理のひとつ。「房州黒あわび」の繊細な食味を最大限引き出すため、調理前には和の手法を用い“大根と日本酒”とともに蒸し上げる。その上であらためて、貝のジュとバターにゆっくり絡めながらポッシェ。下に敷くブルグールのリゾットに忍ばせた岩海苔や、貝のジュをベースにした雲丹のソースと絡み合うことで、磯の香りと旨み、奥深い風味や食感が口の中で何層にも重なりあう。豊潤極まりない海の贈りものが、ひとくちごとに深淵なるマリアージュを繰り広げるのだ。



「房州黒あわび」に傾けるオリヴィエ=シェニョンの想いの深さは、こんな言葉からも読み取ることができる。

「出逢えること自体に幸せを感じ、自然への敬意を抱かずにはいられない食材のひとつです。調理場で手にした瞬間から皿に盛りつける瞬間まで、すばらしい海の恵みに感謝する想いで調理しています」