ロオジエのこだわり

NEW2017年7月24日

【くまもとあか牛】松阪牛や近江牛、神戸牛など、特に90年代以降の高級和牛ブームをけん引してきた“日本三大牛”をはじめ、米沢牛、飛騨牛、岩手や北海道の短角牛、近頃では赤身肉ブームなどの波に乗りニュージーランド牧草牛やフランスのシャロレー牛などの人気も高まっている。その数ある選択肢のなかから、当店エ...MORE

2017年4月27日

【自然への敬意を感じずにはいられない、素晴らしき「海からの贈りもの】「黒鮑(あわび)のバターポッシェ」と言えば、2013年の「L'OSIER」リニューアルオープン以来、エグゼクティブシェフ オリヴィエ=シェニョンのスペシャリテとして多くの人の心を捉えてきた料理のひとつ。この料理は1年を通じて“最...MORE

NEW2017年7月24日
【くまもとあか牛】

松阪牛や近江牛、神戸牛など、特に90年代以降の高級和牛ブームをけん引してきた“日本三大牛”をはじめ、米沢牛、飛騨牛、岩手や北海道の短角牛、近頃では赤身肉ブームなどの波に乗りニュージーランド牧草牛やフランスのシャロレー牛などの人気も高まっている。その数ある選択肢のなかから、当店エグゼクティブシェフ オリヴィエ・シェニョンの心を捉えたのが、阿蘇山の麓で育まれる「くまもとあか牛」だ。

九州のほぼ中央。世界一のカルデラを誇る阿蘇の豊かな自然に恵まれた大地のもと、ふくよかな恵みをたたえた良質な水、澄んだ空気、緑豊かな田園風景に囲まれてのびのびと育てられる「くまもとあか牛」。その魅力は、ほんのりとサシが入りつつも余分な脂分がなく、ほど良い噛みごたえのある赤身を主体にした繊細な肉質。噛めば噛むほど口中にあふれ出る“甘み”や“旨み”、牛肉本来の香りや豊かな風味と和牛としてのコクを併せもっている点にある。

あか牛の素晴らしい食味に感銘を受けたシェニョンは今回、銘産地として知られる熊本県菊池市で親子二代にわたり肥育農家を営む斉藤栄喜(えいき)さん・誉尚(やすたか)さん親子のもとを直接訪問。彼らの情熱に触れたことで、あらためてこの食材に深い敬意をはらうようになったという。

「そのクオリティ、テクスチャー、特にサシの割合が少ないこと。あか牛は私の料理においてまさに理想の牛肉なのです。熊本では生産者のみなさまとの素晴らしい出会いがありました。その生活はあか牛たちを中心にまわり、すべてはあか牛に対する情熱と意欲と愛によって成し遂げられている。何よりも印象的だったのは、日々丁寧に整えられる美しい環境のもとで過ごす幸せな動物たちの姿です」

ストレスのない環境で心地よく過ごせるよう24時間体制で整備される牛舎。牧草や稲わらで反芻機能を育てた後、とうもろこしや麦の粉など、地元・熊本産の穀物中心の飼料で愛情をこめて育てられる「くまもとあか牛」。健康志向や赤身肉人気で年々需要が高まる一方で、その生産量は震災などの影響からまだ思うようには伸びていないという。


厨房でこの食材を手にするたび、シェニョンは自らの気持ちを奮い立たせる。「熊本で出会ったみなさんの並々ならぬ情熱。あらためて感じた食の感動。希少な素材を慈しみながら、愛情と敬意をもってひと皿ひと皿に表現していきたい」




※前頁写真は右から生産者の斉藤栄喜さん、斉藤誉尚さん親子、オリヴィエ・シェニョン
2017年4月27日
【自然への敬意を感じずにはいられない、素晴らしき「海からの贈りもの】

「黒鮑(あわび)のバターポッシェ」と言えば、2013年の「L'OSIER」リニューアルオープン以来、エグゼクティブシェフ オリヴィエ=シェニョンのスペシャリテとして多くの人の心を捉えてきた料理のひとつ。この料理は1年を通じて“最良の国産黒鮑”が入荷した時のみコースの前菜として登場していたのだが、「またぜひ味わいたい」という声に応えるかたちで、アラカルトメニューに加えられた人気のひと品だ。

オリヴィエと国産黒鮑の出会いは、彼が来日まだ間もない頃に訪れたという鉄板焼きレストランでのこと。鉄板の上でまたたく間に蒸し焼きされた黒鮑は、フランス・ブルターニュでわずかに水揚げされる小粒の鮑とはまったく異なる食感・風味。これがオリヴィエの味覚にかつてないセンセーショナルを巻き起こしたのだ。

今回ご紹介する「房州黒あわび」は、その国産黒鮑のなかでもずばぬけて身質がよく、1個あたり貝付きで500〜600gという希少な特選食材。黒鮑の産地として名高い南房総・千倉で、海女漁が解禁される5月1日から9月15日の間のみ出回るのだが、先述した500〜600gのものは地元でも「10年もの」として高値で取り引きされる。出荷先でも言わば「取り合い」のような状態になる希少食材なのだ。

漁期にあたるこの時期、黒鮑は10月の産卵期に向けて積極的に栄養を蓄えるため、主に海底を漂う昆布のミネラル分をたっぷり吸収し身質もふっくらと肉厚になる。鮑は加熱するとどうしても痩せてしまうのだが、「房州黒あわび」は火入れしても身はふっくらとしたまま。ほど良い弾力を保ちながらもしっとりとやわらかいのが特徴だ。

「黒鮑のバターポッシェ 花紫蘇添え 岩海苔入りブルグールのリゾット 生雲丹のブイヨンソース」は、この特選素材が入荷する時期にぜひ味わっていただきたい料理のひとつ。「房州黒あわび」の繊細な食味を最大限引き出すため、調理前には和の手法を用い“大根と日本酒”とともに蒸し上げる。その上であらためて、貝のジュとバターにゆっくり絡めながらポッシェ。下に敷くブルグールのリゾットに忍ばせた岩海苔や、貝のジュをベースにした雲丹のソースと絡み合うことで、磯の香りと旨み、奥深い風味や食感が口の中で何層にも重なりあう。豊潤極まりない海の贈りものが、ひとくちごとに深淵なるマリアージュを繰り広げるのだ。



「房州黒あわび」に傾けるオリヴィエ=シェニョンの想いの深さは、こんな言葉からも読み取ることができる。

「出逢えること自体に幸せを感じ、自然への敬意を抱かずにはいられない食材のひとつです。調理場で手にした瞬間から皿に盛りつける瞬間まで、すばらしい海の恵みに感謝する想いで調理しています」