ロオジエのこだわり

NEW2018年10月25日

【手から手へ。心を伝えるカトラリー】ロオジエの“心”を表現するうえで、欠くことのできないパートを担うのが「ピュイフォルカ(PUIFORCAT)」のカトラリーです。「ロオジエ」では1999年 銀座・並木通りへの移転を機に、店で扱うすべてのシルバーをフランスの老舗銀器メゾン「ピュイフォルカ」に統一。...MORE

2018年4月25日

【驚くほどの存在感。オホーツクの海で出会った「北海道産毛ガニ」】「ロオジエのこのひと皿が食べたくて」という声をいただく料理のなかでも、初春から初夏にかけてのこの時期、ご予約の際に特にリクエストいただく人気のひと品が「北海道産毛ガニ」を使ったアラカルトの数々です。たとえば3月末頃から5月頃にかけて...MORE

2017年11月10日

【八海山サーモン】2017年春の出合い以降、エグゼクティブシェフ、オリヴィエ・シェニョンが虜になった食材のひとつに「八海山サーモン」がある。その呼び名に“鮭”を思い浮かべるのだが、実の正体は虹鱒(ニジマス)。もちろん想像に難くなく、一般的な虹鱒とはかなり異なる手法で育てられた魚種で、銘酒の名称で...MORE

2017年7月24日

【くまもとあか牛】松阪牛や近江牛、神戸牛など、特に90年代以降の高級和牛ブームをけん引してきた“日本三大牛”をはじめ、米沢牛、飛騨牛、岩手や北海道の短角牛、近頃では赤身肉ブームなどの波に乗りニュージーランド牧草牛やフランスのシャロレー牛などの人気も高まっている。その数ある選択肢のなかから、当店エ...MORE

2017年4月27日

【自然への敬意を感じずにはいられない、素晴らしき「海からの贈りもの】「黒鮑(あわび)のバターポッシェ」と言えば、2013年の「L'OSIER」リニューアルオープン以来、エグゼクティブシェフ オリヴィエ=シェニョンのスペシャリテとして多くの人の心を捉えてきた料理のひとつ。この料理は1年を通じて“最...MORE

NEW2018年10月25日
【手から手へ。心を伝えるカトラリー】

ロオジエの“心”を表現するうえで、欠くことのできないパートを担うのが「ピュイフォルカ(PUIFORCAT)」のカトラリーです。「ロオジエ」では1999年 銀座・並木通りへの移転を機に、店で扱うすべてのシルバーをフランスの老舗銀器メゾン「ピュイフォルカ」に統一。総数900本となるテーブル用カトラリーをはじめ、今ではミュージアムピースとも言える芸術的な逸品であるテーブルサービス用のプラッター、シュガーポットなど、現代では物理的に購入不可能ともいえるピュイフォルカ製品の数々が選ばれました。以来今日にいたるまで、日本国内のどのレストランも収集し得ない数のピュイフォルカ・コレクションが大切に受け継がれ、現在もエグゼクティブシェフ オリヴィエ・シェニョンの料理と共に、日々のお客さまへのサービスに用いられています。
 「ロオジエ」と「ピュイフォルカ」。ともに職人技を重んじるメゾン同士が紡ぎ出してきた歴史、そしてエピソードは数知れず。長年サービススタッフを率いてきた支配人・内堀泰彦においても、「ピュイフォルカ」と共に歩んできた時間には他ならぬ想いがあると言います。
 「この銀器にはロオジエのサービスの真髄にある“お客さまを敬う気持ち”が込められています。丁寧につくられたお料理を、丁寧に運ぶ。当たり前のことですが、未だにひと皿ごとシルバーのプラッターでテーブルまで運び、提供するスタイルを貫いているフランス料理店は、ここ東京でもかなり希少になってきているのは事実です。スタッフが重いプラッターを手に手に、厨房とテーブルを何十往復も行き来する。脈々と受け継がれるこのスタイルの根底にあるのは『すべてはお客さまのために』という創業当時から変わらぬ想いです」
 ロオジエでは若いスタッフにまず、これらの銀器を丁寧に扱うことが徹底的にたたきこまれます。ランチとディナー、1日2回のサービスごとにひとつひとつをやわらかい布で丁寧に拭きあげる作業も、日々のルーティンとして欠かせません。常に万全な状態に磨き上げる作業を積み重ねることで、手に感じる重みと価値をリアルに体感し、徐々にサービスに傾ける想いや姿勢も変わっていくのだと内堀は言います。
 「ピュイフォルカという特別な銀器を通してお伝えしたいのは、約20年間、変わらぬ輝きを保つために費やしてきた時間と想い。“日本の最高峰のお料理とサービスをお届けする”という自負・誇りなのです」

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ピュイフォルカ|PUIFORCAT:1820年、オルフェーヴル(金銀細工工房)が集まるパリ・マレ地区でエミール・ピュイフォルカによって設立された「現代銀器の最高峰」とも言われるフランスの老舗銀器メゾン。最高純度の銀を用い、職人が丹念に仕上げたカトラリーは大統領官邸エリゼ宮の晩餐会でも使われている。職人の技術・伝統を守り続けるため、1993年よりエルメス・グループの一員になっている。
2018年4月25日
【驚くほどの存在感。オホーツクの海で出会った「北海道産毛ガニ」】

「ロオジエのこのひと皿が食べたくて」という声をいただく料理のなかでも、初春から初夏にかけてのこの時期、ご予約の際に特にリクエストいただく人気のひと品が「北海道産毛ガニ」を使ったアラカルトの数々です。たとえば3月末頃から5月頃にかけて登場する「北海道産毛ガニとクルスタッセのロワイヤル」もそのひとつ。クルスタッセ(甲殻類)のロワイヤルの上に、ふくよかな食感と甘みをたたえたカニのほぐし身をたっぷりのせ、その内側にはアスパラガスのアイスクリームを。クルスタッセのクリームをつめた蕪の酸味、グリーンアスパラガスのシャキシャキとした食感、ロワイヤルとアイスクリームの異なる温度のコントラストのなかで、驚くほどの存在感を放つ毛ガニの風味は格別なものだとエグゼクティブシェフ オリヴィエ・シェニョンは言います。
 今回、シェニョンが訪れたのは、その豊かな味わいに心を掴まれて以来、直接活きたままの状態で取り寄せているという、こだわりの毛ガニの水揚げ地、北海道紋別郡興部(おこっぺ)町・沙留(さるる)。豊富なプランクトンが回流する沙留の海は、オホーツクの豊富な海産物を誇る港町。シェニョンが訪れた3月末は、ちょうど流氷が去ったあとに獲れる希少な高級毛ガニ「海明け毛ガニ」の漁が最盛期で、脱皮から時間が経っている(体が硬く身がしっかり詰まっている)格付け最高ランクの“堅蟹(かたがに)”が獲れる時期でもあります。
 シェニョンは、早朝の漁を終えたばかりの船から豊漁の毛ガニが水揚げされる様子に、にわかに興奮の面持ちで、さっそく茹であげたばかりの獲れたてを試食。「甲羅の内側にびっしり身が詰まっていますね。このつまり具合や身質の繊細さは、やはりインパクトがあります。水分が少なく身が締まっているので、甘みにも凝縮感がある。茹でるとさらに綺麗な赤色となる色味の美しさも、紋別産毛ガニの魅力なのだと思います」
 この興部町沙留の漁港から、活きたままロオジエの厨房へと届けられるこだわりの毛ガニ。シェニョンはそのごく繊細なテクスチャーや甘みを逃さぬように、白ワインと野菜とともにゆっくり時間をかけて茹で上げ、ぷるんと張りのある身質のすばらしさとふくよかな風味を余すことなく表現します。クルスタッセのロワイヤルをはじめ、北海道毛ガニの魅力を様々な手法でご提案するアラカルトの数々は、季節毎の旬の食材とともに8月頃までお楽しみいただけます。
2017年11月10日
【八海山サーモン】

2017年春の出合い以降、エグゼクティブシェフ、オリヴィエ・シェニョンが虜になった食材のひとつに「八海山サーモン」がある。その呼び名に“鮭”を思い浮かべるのだが、実の正体は虹鱒(ニジマス)。もちろん想像に難くなく、一般的な虹鱒とはかなり異なる手法で育てられた魚種で、銘酒の名称でも名高い霊峰・八海山の湧き水を引いた限りなく天然に近い環境のなか、通常の1.5倍以上もの長い養殖期間を経て育てられた大型の虹鱒である。

 八海山から湧き出たミネラル豊富な一番水のみを使用し、低水温でゆったりと時間をかけて育てられることから、川魚の臭みがなく余分な脂ものらない。卵も白子も持たないため、身に蓄える旨みを余すことなく味わうことができる。「鮭と比べて脂肪分が低く、脂はさらりとしたキレがあり、引き締まった身の食感は極めてまろやか。とにかく、口の中にふくんだ瞬間に広がるテクスチャーが素晴らしい」。シェニョンの熱い語り口からもわかるように、フレンチのコンテンポラリーキュイジーヌに携わる料理人にとって、なんとも腕がなる食材なのだ。

 この「八海山サーモン」の類い稀な風味にインスピレーションを得て生まれた一品が、「LE CAVIAR OSCIÈTRE / キャビア オシェトラと八海山サーモンのミ・キュイ ポワローのクリームとコンディマン〈禅〉そば粉のブリニス」。アラカルトで味わえる人気のひと皿である。

 美しい色味と繊細なテクスチャーを表現するため、隙き間のないロール状に巻き上げた「八海山サーモン」は、低温でゆっくりミ キュイ。身が口の中でなめらかにほどける程度に丁寧に火入れしたうえでカットし、大地の旨みをたっぷり蓄えたポワローのクリームの上に重ね、レモンの果肉とゼストをのせる。脇にたっぷり添えるのが、ヘーゼルナッツのようなコクと旨みをもつキャビア オシェトラ。余分な脂を持たない「八海山サーモン」とこの上ないハーモニーを奏で、すべてが合わさった瞬間にある種の高揚感に満ちた“甘美なる世界”が完成する。

 京都の禅寺にインスピレーションを受け、“日本庭園(石庭)”をイメージしたというコンディマンも印象的だ。卵の白身と黄身をそれぞれ庭の石に見立て、ケッパーとビーツで色づけした玉ねぎ、シブレット、上にはひと粒ひと粒キャビア オシェトラをのせ、細密なる禅の世界が表現される。同時にサーヴされるブリニスで、「八海山サーモン」、キャビア、ポワロー、コンディマンを包み込めば、そば粉の薫りとの新たな出合いも体験できる。

 旨みとコク、香味、酸味、苦み、甘味……口中にてミクロレベルで融合しながら構成される味覚の五角形を愉しみながら、シェニョンの心を捉えた素晴らしき食味「八海山サーモン」の世界へとしばし旅してみたい。
2017年7月24日
【くまもとあか牛】

松阪牛や近江牛、神戸牛など、特に90年代以降の高級和牛ブームをけん引してきた“日本三大牛”をはじめ、米沢牛、飛騨牛、岩手や北海道の短角牛、近頃では赤身肉ブームなどの波に乗りニュージーランド牧草牛やフランスのシャロレー牛などの人気も高まっている。その数ある選択肢のなかから、当店エグゼクティブシェフ オリヴィエ・シェニョンの心を捉えたのが、阿蘇山の麓で育まれる「くまもとあか牛」だ。

九州のほぼ中央。世界一のカルデラを誇る阿蘇の豊かな自然に恵まれた大地のもと、ふくよかな恵みをたたえた良質な水、澄んだ空気、緑豊かな田園風景に囲まれてのびのびと育てられる「くまもとあか牛」。その魅力は、ほんのりとサシが入りつつも余分な脂分がなく、ほど良い噛みごたえのある赤身を主体にした繊細な肉質。噛めば噛むほど口中にあふれ出る“甘み”や“旨み”、牛肉本来の香りや豊かな風味と和牛としてのコクを併せもっている点にある。

あか牛の素晴らしい食味に感銘を受けたシェニョンは今回、銘産地として知られる熊本県菊池市で親子二代にわたり肥育農家を営む斉藤栄喜(えいき)さん・誉尚(やすたか)さん親子のもとを直接訪問。彼らの情熱に触れたことで、あらためてこの食材に深い敬意をはらうようになったという。

「そのクオリティ、テクスチャー、特にサシの割合が少ないこと。あか牛は私の料理においてまさに理想の牛肉なのです。熊本では生産者のみなさまとの素晴らしい出会いがありました。その生活はあか牛たちを中心にまわり、すべてはあか牛に対する情熱と意欲と愛によって成し遂げられている。何よりも印象的だったのは、日々丁寧に整えられる美しい環境のもとで過ごす幸せな動物たちの姿です」

ストレスのない環境で心地よく過ごせるよう24時間体制で整備される牛舎。牧草や稲わらで反芻機能を育てた後、とうもろこしや麦の粉など、地元・熊本産の穀物中心の飼料で愛情をこめて育てられる「くまもとあか牛」。健康志向や赤身肉人気で年々需要が高まる一方で、その生産量は震災などの影響からまだ思うようには伸びていないという。


厨房でこの食材を手にするたび、シェニョンは自らの気持ちを奮い立たせる。「熊本で出会ったみなさんの並々ならぬ情熱。あらためて感じた食の感動。希少な素材を慈しみながら、愛情と敬意をもってひと皿ひと皿に表現していきたい」




※前頁写真は右から生産者の斉藤栄喜さん、斉藤誉尚さん親子、オリヴィエ・シェニョン
2017年4月27日
【自然への敬意を感じずにはいられない、素晴らしき「海からの贈りもの】

「黒鮑(あわび)のバターポッシェ」と言えば、2013年の「L'OSIER」リニューアルオープン以来、エグゼクティブシェフ オリヴィエ=シェニョンのスペシャリテとして多くの人の心を捉えてきた料理のひとつ。この料理は1年を通じて“最良の国産黒鮑”が入荷した時のみコースの前菜として登場していたのだが、「またぜひ味わいたい」という声に応えるかたちで、アラカルトメニューに加えられた人気のひと品だ。

オリヴィエと国産黒鮑の出会いは、彼が来日まだ間もない頃に訪れたという鉄板焼きレストランでのこと。鉄板の上でまたたく間に蒸し焼きされた黒鮑は、フランス・ブルターニュでわずかに水揚げされる小粒の鮑とはまったく異なる食感・風味。これがオリヴィエの味覚にかつてないセンセーショナルを巻き起こしたのだ。

今回ご紹介する「房州黒あわび」は、その国産黒鮑のなかでもずばぬけて身質がよく、1個あたり貝付きで500〜600gという希少な特選食材。黒鮑の産地として名高い南房総・千倉で、海女漁が解禁される5月1日から9月15日の間のみ出回るのだが、先述した500〜600gのものは地元でも「10年もの」として高値で取り引きされる。出荷先でも言わば「取り合い」のような状態になる希少食材なのだ。

漁期にあたるこの時期、黒鮑は10月の産卵期に向けて積極的に栄養を蓄えるため、主に海底を漂う昆布のミネラル分をたっぷり吸収し身質もふっくらと肉厚になる。鮑は加熱するとどうしても痩せてしまうのだが、「房州黒あわび」は火入れしても身はふっくらとしたまま。ほど良い弾力を保ちながらもしっとりとやわらかいのが特徴だ。

「黒鮑のバターポッシェ 花紫蘇添え 岩海苔入りブルグールのリゾット 生雲丹のブイヨンソース」は、この特選素材が入荷する時期にぜひ味わっていただきたい料理のひとつ。「房州黒あわび」の繊細な食味を最大限引き出すため、調理前には和の手法を用い“大根と日本酒”とともに蒸し上げる。その上であらためて、貝のジュとバターにゆっくり絡めながらポッシェ。下に敷くブルグールのリゾットに忍ばせた岩海苔や、貝のジュをベースにした雲丹のソースと絡み合うことで、磯の香りと旨み、奥深い風味や食感が口の中で何層にも重なりあう。豊潤極まりない海の贈りものが、ひとくちごとに深淵なるマリアージュを繰り広げるのだ。



「房州黒あわび」に傾けるオリヴィエ=シェニョンの想いの深さは、こんな言葉からも読み取ることができる。

「出逢えること自体に幸せを感じ、自然への敬意を抱かずにはいられない食材のひとつです。調理場で手にした瞬間から皿に盛りつける瞬間まで、すばらしい海の恵みに感謝する想いで調理しています」